もう迷わない! ビジネスメールの作法をマスターする

ビジネスの世界では、メールによるコミュニケーションが欠かせません。しかし、LINEやInstagramのDMに慣れた新社会人にとって、ビジネスメールの作法は戸惑うことが多いものです。

本記事では、ビジネスメールの基本から実践的な例文まで、初心者の人でもビジネスメールの書き方を分かりやすく解説していきます。

LINEやInstagramのDMとの違い

ビジネスメールには、以下のようにLINEやInstagramのDMなどのSNSと異なる特徴があります。

  1. 正式な文書として扱われ、後々まで記録が残る
  2. すぐに返信や修正ができないため、慎重に作成する必要がある
  3. 相手への敬意を示しつつ、情報を正確に伝えることが目的

ビジネスメールの特徴を理解し、うまく活用することでスムーズなビジネスコミュニケーションにつながります。適切な言葉遣いと分かりやすい文章構成で、ビジネスパーソンとして好印象を与えましょう。

ビジネスメールの基本構成

ビジネスメールは以下の6つの要素からできています。

ビジネスメールのマナーと書き方

  • 件名
  • 宛名
  • 挨拶
  • 本文
  • 結び
  • 署名

件名

ビジネスメールのマナーと書き方

件名はメールの内容を表すものであり、ビジネスメールでは必須の要素です。

件名は、メールの内容を簡潔に表現するものです。「〇〇の件について」「△△のご依頼」など、受信者がひと目で内容を把握できるようにしましょう。

LINEやDMでは件名がなくてもやり取りができますが、ビジネスメールでは件名がないと相手に何の連絡なのか伝わりにくく、開封されない可能性があります。

メールの「顔」とも言える件名は、簡潔かつ具体的に記述することが大切です。

  • 【重要】〇〇プロジェクトの進捗報告
  • 【ご確認ください】来週の会議日程変更について

宛名

ビジネスメールのマナーと書き方

宛名は基本的に「様」を付けますが、社内の場合は「さん」が使われることもあります。

メールの宛名は、相手への敬意を示す重要な要素です。基本的に相手の名前に「様」を付けます。社内では「さん」も使われますが、初めてのやり取りでは「様」が無難です。

社外の場合は会社名、部署名、役職名、氏名の順に記載します。一方、社内の場合は部署名と氏名のみで十分です。

  • 社外:〇〇株式会社 営業部 部長 山田太郎様
  • 社内:営業部 山田太郎様

また、ビジネスメールの宛先が複数の場合には、以下のルールが適応されます。

ビジネスメールのマナーと書き方

複数人にメールを送る場合、宛名は横書きでも縦書きでもよいですが、役職の高い順に並べるのが一般的です。

役職順で記載する

複数の宛先で役職が異なる場合、通常は役職の高い順に並べるのが一般的です。組織の構造を理解していることを示し、プロフェッショナルな印象を与えられます。

役職が不明な場合は、間違うと失礼なので別の基準(五十音順など)で並べましょう。同じ役職の場合は年次や関係の深い順で並べます。迷ったら五十音順で構いません。

関わりが深い会社順で記載する

複数の宛先が社外の会社の場合、自社と関わりが深い会社順に並べます。

大人数の場合は「各位」を使用

複数の宛先が大人数で、目安として6名以上の場合は「各位」を使用することも可能です。

挨拶

ビジネスメールのマナーと書き方

挨拶は社内・社外、返信、お礼などで使い分けます。

メールは丁寧な挨拶で始めることが大切です。「お世話になっております。〇〇株式会社の△△です。」のような定型文が一般的です。

  • 通常:いつもお世話になっております。
  • 社内の相手:お疲れ様です。
  • 初めての相手:初めてご連絡させていただきます。
  • 久しぶりの連絡:ご無沙汰しております。
  • 相手のメールに返信する場合:ご連絡ありがとうございます。
  • いただいた返信に返信する場合:ご返信ありがとうございます。
  • 訪問後のお礼メール:先ほどはお時間をいただき、ありがとうございました。

本文

ビジネスメールのマナーと書き方

本文は簡潔に伝えることが大切で、より分かりやすい表現を意識します。

本文の注意点は以下の4点です。これらに注意することで、相手が理解しやすい効果的な本文を作成できます。

  • 本文は「結論ファースト」で書き始め、要点を明確かつ簡潔に伝える
  • 1つの段落に1つの要点を心がけ、長文は避ける
  • 読みやすさを考慮し、20〜40文字程度で適宜改行を入れる
  • 箇条書きを使って、視覚的により分かりやすくする

結び

ビジネスメールのマナーと書き方

結びの言葉は「感謝の言葉」や「今後のアクション」を伝えます。

ビジネスメールの締めくくりには、結びの言葉で「感謝の言葉」や「今後のアクション」を伝えます。

感謝の言葉の例

  • ご協力いただき、心より感謝申し上げます。
  • お忙しい中、ご確認いただきありがとうございました。

今後のアクションの例

  • ご確認いただければ幸いです。
  • ご多忙中恐れ入りますが、ご検討のほどよろしくお願いいたします。

最後は「よろしくお願いいたします。」「今後ともよろしくお願い申し上げます。」など、丁寧な言葉で締めくくりましょう。礼儀正しく前向きな印象を伝えられるとともに、相手とのつながりを大切にする思いが伝わります。

署名

ビジネスメールのマナーと書き方

署名はメール末尾に必ず入れましょう。テンプレートをカスタマイズするのがおすすめです。

メール末尾には必ず署名を入れましょう。会社名、部署、氏名、連絡先(電話番号やメールアドレス)を記載します。

会社で署名のテンプレートが用意されている場合が多いので、自分用にカスタマイズしましょう。メールの機能に署名設定があるので、登録しておくと便利です。

ビジネスメールの書式

1行の適切な文字数

1行あたり20〜40文字程度が読みやすいとされています。長すぎる行は避けましょう。

段落分けと適切な改行の入れ方

内容ごとに段落を分け、各段落の間に1行空けるのが一般的です。適切に改行を入れると、読み手が内容を理解しやすくなります。

読みやすさを重視したレイアウト

余白を適度に取り、文字の大きさや行間にも気を配りましょう。読みやすさは、相手への配慮の表れでもあります。

初心者でも使える! 基本的なビジネスメール例文

問い合わせへの返答メール(社外宛)

件名:【ご回答】商品Aについてのお問い合わせ

〇〇株式会社 △△部 □□様

お世話になっております。株式会社△△の佐藤です。

先日いただきました商品Aに関するお問い合わせについて、ご回答申し上げます。

Q. 商品Aの納期について
A. 通常、ご注文から1週間程度でお届けが可能です。

Q. カスタマイズについて
A. 色や素材のカスタマイズが可能です。詳細は別添の資料をご覧ください。

ご不明な点がございましたら、遠慮なくお問い合わせください。

今後ともよろしくお願い申し上げます。

(署名)

依頼メール(社内宛)

件名:【ご依頼】来月の会議資料作成について

営業部 山田様

お疲れ様です。企画部の佐藤です。

来月15日に予定されている取締役会議の資料作成について、
ご協力をお願いしたく、ご連絡いたしました。

つきましては、以下の資料のご準備をお願いいたします。

1. 今期の売上実績と来期の見込み
2. 主要顧客別の売上推移
3. 新規顧客開拓の状況

期日:5月10日(金)まで

お忙しいところ恐縮ですが、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

(署名)

お詫びメール(社外宛)

件名:【お詫び】納品遅延について

〇〇株式会社 △△部 □□様

いつもお世話になっております。株式会社××の佐藤です。

先日ご注文いただきました商品Bの納品につきまして、
当初の予定より遅れが生じておりますこと、深くお詫び申し上げます。

遅延の理由:原材料の調達遅れ
納品予定日:6月20日(当初の予定より1週間遅れ)

このような事態を招き、誠に申し訳ございません。
今後このようなことがないよう、生産管理体制を見直し、再発防止に努めてまいります。

何卒ご理解いただきますよう、お願い申し上げます。

(署名)

ビジネスメール作成時の6つの注意点

敬語の適切な使用

相手の立場や年齢を考慮し、適切な敬語を使用しましょう。過度な敬語は失礼に当たる場合もあるので注意が必要です。

過度な敬語に当たる典型的な例に、「社長のお車が故障なさったそうで」といった表現があります。物に対して敬語を使う必要はないので、正しくは「社長の車が故障したそうで」となります。

ほかにも「ご要望を拝聴させていただき、早急に対応させていただきます。」は、「拝聴」と「させていただく」が二重敬語となるうえ、「させていただく」が重複しています。正しくは「ご要望を承り、早急に対応いたします。」となります。

簡潔な文章を心がける

要点を絞り、簡潔に伝えることを心がけましょう。不必要な情報は省きます。

CCとBCCの正しい使い方

ビジネスメールのマナーと書き方

ビジネスメールでは、宛先のほかCc/Bccという送信オプションがあります。

SNSにはない機能ですが、メールには「宛先(TO)」の他に「CC」と「BCC」の送信オプションがあります。CCは関係者への情報共有、BCCは他の受信者の連絡先を隠したい場合に使用します。

効果的で安全なコミュニケーションのために、「CC」と「BCC」の違いや正しい使い方を理解しておきましょう。

「CC」(カーボンコピー)の機能と主な用途・特徴

機能 主な用途 特徴
メインの受信者以外にも同じメールを送信する 情報共有や報告のため TOの受信者が優先
CC受信者は二次的な扱い
全受信者にCC先が表示される

CCには「この内容を他の関係者にも共有しています」「進捗を関係者に報告しています」という意味合いがあります。

「BCC」(ブラインド・カーボンコピー)の機能と主な用途・特徴

機能 主な用途 特徴
受信者を非公開にしたまま、同じメールを複数の宛先に送信する 秘密の報告・共有
関係のない複数の相手への一斉送信
TO/CC受信者にはBCC受信者が表示されない
BCC受信者同士も互いに見えない

BCCは、複数の関係者への情報共有という点ではCCと同じですが、関係者間では共有されていることが分からない点が異なります。例えば、複数の業者への見積もり依頼、プライバシー保護が必要な一斉連絡といったケースで使用します。頻繁に使用するというより、特殊なケースに限定して使用することを心掛けてください。

「CC」「BCC」の使い方を誤ると、失礼になるだけでなく、個人情報漏洩などの重大な問題を引き起こす可能性があるので気をつけましょう。

添付ファイルの確認

添付忘れや添付間違いに注意しましょう。また、ファイル名は分かりやすいものにします。Gmailの場合、正しい添付ファイルの送り方は以下の通りです。

ビジネスメールのマナーと書き方

メールの作成画面にて、[ファイルを添付](クリップのアイコン)をクリックしてファイルを選択します。

適切なファイル名の例

ビジネスメールのマナーと書き方

ファイルが添付されました。あらかじめ、添付ファイルには分かりやすい名前を付けておきましょう。

不適切なファイル名の例

ビジネスメールのマナーと書き方

何のファイルなのか、ひと目で分からないような名前は不親切です。[×]をクリックしていったん添付ファイルを削除し、分かりやすいファイル名に変更してから、再度添付しましょう。

送信前の最終チェック

誤字脱字、宛先、内容に間違いがないか、必ず確認してから送信しましょう。

絵文字や顔文字の使用に注意

ビジネスメールではSNSと違い、原則として絵文字や顔文字は使用しません。

ビジネスメールは、社会人として必須のスキルです。LINEやInstagramのDMとは異なる特徴や注意点を押さえ、相手への配慮を忘れずに作成することが大切です。

本記事で紹介した基本と例文を参考に、効果的なビジネスメールを作成し、良好な関係構築につなげてください。練習を重ねることで、自然とビジネスメールが上達していくはずです。