240 外部データとの連携
費用データと計算指標ですべての広告のCPAを把握する
CPA、すなわち顧客獲得単価は、費用をかけてコンバージョンを獲得する施策の効率性を端的に表す指標です(ワザ193を参照)。リスティング広告やディスプレイ広告、さらにはFacebook広告などの「SNS広告」を運用しているWeb担当者なら、必ず気になる指標と言えるでしょう。CPAは「費用÷コンバージョン数」で求められます。
CPAをGoogleアナリティクスで扱えるようにするには、当然ながら、この2つのデータがそろっている必要があります。広告経由で獲得できたコンバージョン数は、Googleアナリティクスで設定している目標の完了数として計測できます。ただ、費用のデータは、アカウントをリンクしているAdWords(現:Google広告)のものしか自動では取り込めません。
そこで利用したいのがデータインポートです。AdWords以外の施策については、その広告サービスの管理画面などからデータを取得し、GoogleアナリティクスにアップロードすることでCPAを把握できます。例えば「セミナー申込獲得」をGoogleアナリティクスの目標として登録しておき、募集のために出稿したFacebook広告の費用と紐付け、CPA(セミナーの申し込み1件あたりの獲得単価)を算出する形です。具体的には、以下のような流れで行います。
データセットのスキーマを取得する
GoogleアナリティクスとFacebook広告のデータを紐付けるためのデータセットを作成します。Facebook広告の場合、管理画面からクリック数、表示回数、費用を取得できるので、それらを追加しましょう。また、ここではキャンペーンのデータも加えることにします。データセットを保存したら、そのデータの内容を定義した「スキーマ」を取得します。Excelで開けるCSVファイルとしてダウンロードすると、あとで加工がしやすくなります。
管理 > データのインポート
1データセットの設定をする
2スキーマを保存する
外部データをCSVファイルに入力する
ダウンロードしたCSVファイルには、列のヘッダーだけが入力されています。それぞれの列に外部データを入力していきましょう。Facebook広告の管理画面(広告マネージャ)から取得したデータは、費用データの名前が「消化金額(JPY)」となっているので、これを「ga:adCost」の列にコピーします。日付、クリック数、インプレッション数も同じ要領でコピーします。メディア、参照元、キャンペーン名は手動で入力し、以下のようなデータに仕上げます。
注意点として、Googleアナリティクスが認識する日付の書式は、ハイフンなしの「YYYYMMDD」の形になります。CSVファイルをアップロードする前に、Excelの置換機能などを使って整形しましょう。完成したCSVファイルは「UTF-8」形式で保存しておきます。
CSVファイルをアップロードする
Googleアナリティクスの[管理]画面から、CSVファイルをアップロードします。データセットを選択すると[ファイルのアップロード]が表示されるので、前述のCSVファイルを選択しましょう。正常にアップロードされると、ステータスに[完了]と表示されます。
計算指標を作成する
データのインポートに続いて、CPAを算出するための計算指標を作成します(ワザ158を参照)。計算指標はビューに紐付くので、データのインポートを行うときに指定したビューを開いたうえで、新しい計算指標を作成しましょう。
管理 > 計算指標
カスタムレポートを作成する
最後に、インポートしたデータと計算指標を組み込んだカスタムレポートを作成します。以下の設定は一例ですが、このレポートにより、Facebook広告のキャンペーンと日付ごとに、Googleアナリティクスと広告関連の指標、そしてCPAを一気通貫で把握できるようになります。
カスタムレポートの設定内容
要素名 | 内容 |
---|---|
種類 | フラットテーブル |
ディメンション | キャンペーン |
参照元/メディア | |
日付 | |
指標 | セッション |
新規セッション率 | |
直帰率 | |
ページ/セッション | |
平均セッション時間 | |
目標の完了数 | |
目標のコンバージョン率 | |
表示回数 | |
クリック数 | |
クリック率 | |
費用 | |
CPA ※計算指標として作成 |
ポイント
- データのアップロードを常に手動で行うのは、運用する広告が多いほど手間になります。社内のシステム部門などに相談し、アップロードの自動化を実現するのが理想的です。
CPAを把握できるのはAdWordsだけ、というのは不十分です。主要な広告サービスについては、データインポートによるCPA算出を試みましょう。
本コンテンツは、インプレスの書籍『できる逆引き Googleアナリティクス 増補改訂2版 Web解析の現場で使える実践ワザ 260』を、著者の許諾のもとに無料公開したものです。記事一覧(目次)や「まえがき」は以下のリンクからご覧ください。
- 本書発行時点(2017年11月)の情報に基づいています。
- 本書は2色刷のため、画面はグレースケールとなります。