小さな画面でもレンズの違いは明らかにわかる

 Ustreamは配信ページの小さな画面で視聴することが多いですが、カメラの性能が上がると、小さな画面でも印象が変わります。これはちょうど、コンパクトデジタルカメラで撮った写真と、デジタル一眼レフカメラの写真を同じサイズで見比べても違いがわかるのに似ています。細部のシャープさや立体感に、レンズの性能のよしあしが現れるのです。
 WebカメラはもともとSkypeなどのビデオチャットで、比較的小さな画面、低い解像度での利用を前提に設計されています。近年では高性能の機種も登場していますが、画質にはおのずと限界があります。より高画質での配信をめざすならば、ビデオカメラを利用しましょう。

30万画素のパソコン内蔵Webカメラ(上)と、DVカメラ「パナソニック NV-GS300」(下)を使用した場合の映像の比較。映像のシャープさが明らかに異なります

おすすめはIEEE 1394搭載のDVカメラ

 Ustreamでは、カメラをWebカメラからビデオカメラに変えるだけで大きな画質向上が見込めます。ビデオカメラは動画を撮ることを前提にレンズやインターフェースが設計されているので、ズームやホワイトバランス、露出の調整など、Webカメラでは難しいことも自在に行えます。
 レッスン18でも少し解説しましたが、Ustreamで使えるビデオカメラに求められる条件は、次の1点です。

0.USBもしくはIEEE 1394のカメラスルーができる機種

 ビデオカメラを使ってライブ中継をするためには、パソコンに接続して使うことが前提になります。そのため、USBかIEEE 1394(「FireWire」「i.Link」とも呼ばれます)での接続に対応している必要があります(そのほかに接続可能なインターフェースもありますが、機材のコストが上がるので、ここでは触れません)。
 また、現行のビデオカメラには、パソコンと接続したときにUSBメモリーのようにファイルの操作をすることしかできず、カメラの映像をそのままパソコンで利用する「カメラスルー」に対応していない製品も多くあります。カメラスルー非対応機はライブ中継に使えないので、気を付けましょう。
 2005年ぐらいまでに販売されていたミニDVテープを使うデジタルビデオ(DV)カメラは、IEEE 1394接続のための「DV端子」を標準で搭載し、カメラスルーも利用できます。古くなって使わなくなったDVカメラがあれば、ひっぱり出してみてください。2010年現在販売されている製品でも、一部に対応した機種があります。

写真右下がDVカメラのDV端子。パソコンのIEEE 1394( FireWire、i.Link )端子と接続し、ライブ中継を行います

[ヒント]Ustreamに使えるDVカメラの情報サイト

有限会社バッタネイションの岩沢卓さんが運営している「Ustream番長(http://www.battanation.com/ustream/)」というブログでは、Ustreamに使えるカメラ機材の情報がよく取り上げられています。IEEE 1394接続が可能でカメラスルーに対応したDVカメラを探す際には、こちらを参考にするといいでしょう。

[ヒント]「近さ」を演出できるワイドコンバーター

ワイドコンバーター(ワイコン)とは、カメラのレンズの先に装着し、通常よりも広角の撮影を可能にするレンズです。DVカメラを使って座談会や対談などを中継する場合、出演者全員をカメラに収めるためにカメラを引くのでなく、カメラ位置はそのままでワイコンによって全員を収めるようにすると、視聴ユーザーは出演者の近くにいるような気分になります。Ustreamでは、視聴ユーザーの目と画面との距離がテレビよりも近いため、カメラと被写体との距離感が、演出上重要な効果になります。カメラを遠くに置いてズームでコントロールするよりも、ワイコンを利用して大胆に出演者の近くにカメラを置いたほうが、迫力が増すこともあります。販売終了になってしまっているDVカメラ用のワイコンも、ネットオークションなどで探してみると入手できることがあります。