移動中でも常時接続を実現する期待のサービス

 2009年2月から、UQコミュニケーションズ(以下UQ)は高速無線データ通信技術「モバイルWiMAX」を採用した次世代通信サービス「UQ WiMAX」の試験提供を開始しています。モバイルWiMAXは携帯電話のデータ通信機能と無線LANのよい部分を継承した世界標準の広域データ通信規格で、次のような特長があります。

0.高速のデータ通信

 数十Mbps(理論値で最大40Mbps)という、無線LANに匹敵する速度でのデータ通信が可能です。例えばDVD画質の動画を無線で送信するなど、さまざまな場面での活用が期待されています。

0.広いカバーエリアと高速移動体への対応

 モバイルWiMAXの基地局は、半径1km以上の広い範囲をカバーします。そのため、無線LANが建物の中や街角といった「点」で利用できるのに対し、モバイルWiMAXは街全体の「面」で利用できます。また、高速道路を走る車や新幹線など、高速で移動する乗り物(高速移動体)からの利用にも対応しています。

0.常時接続による利便性

 携帯電話を「つなぐ」と意識している人は、それほど多くはないでしょう。モバイルWiMAXでも同様に、電波さえ安定して届いていれば、「つなぐ」ことを意識しなくても利用できます。

0.世界標準規格

 WiMAX(IEEE802.16)は、IEEE(米国を本部とする電気電子学会)により2001年に世界標準規格として誕生しました。これをさらに発展させたのがモバイルWiMAX(IEEE802.16e)です。

 規格が世界的に統一されていることで、データ通信端末さえあれば世界中で利用可能になることが期待されています。また、インテルはかつて無線LANを普及させたように、同社製チップセットを搭載したすべてのノートPCの標準機能にする計画を持っています。

試験サービスでの実効速度は最大で5Mbps程度

 UQ WiMAXの正式サービスは2009年7月に開始予定で、利用料金は月額4,480円の定額制とされています。2009年5月現在では4機種のデータ通信アダプターがあり、これらをPCに接続して専用ソフトをインストールするだけで利用可能になります。

 試験サービスを利用したところでは、電波状況がよい場合は実効速度で5Mbpsを超え、快適にインターネットを利用できます。しかし、基地局の稼働状況は十分とは言えず、都心でもこの速度を出せる場所はかなり限られる印象です。正式サービスまでに基地局の整備が進み、カバーエリアが広がることを期待しましょう。